ある日、知人から相談を受けた。職場でひどい扱いを受けている、と。話を聞くと、状況は深刻だった。録音もある、メールも残っている、日記もつけていた。証拠は十分にあるように聞こえた。
弁護士に相談したら、開口一番こう言われたという。「で、何がいつ起きたんですか? 時系列で教えてください。」
彼女は答えられなかった。記録はある。でもそれは、LINEのスクリーンショットと、走り書きのメモと、泣きながら打ったメールの下書きに散らばっていた。弁護士の30分の相談時間は、その断片を拾い集める作業で終わった。
弁護士が悪いわけではない。彼らの仕事は法的な判断をすることであって、依頼者の記録を時系列に並べ替えることではない。でも、依頼者の側にその整理をする余裕があるかというと、ほとんどの場合、ない。被害の渦中にいる人間に「冷静に事実を整理しろ」と言うのは、溺れている人に「まず泳ぎ方を思い出せ」と言うのに近い。
足りなかったもの
同じような話を何度も聞いた。記録はある。でも「使える形」になっていない。パワハラ、モラハラ、ストーカー、学校のいじめ、ビザ申請——題材は違っても、構造は同じだった。
被害者の手元にはバラバラな断片がある。専門家は整理された事実を必要としている。この間にある溝を、誰も埋めていなかった。
弁護士のウェブサイトには「証拠を残しましょう」と書いてある。それは正しい。でも「どう残すか」「残した記録をどう整理するか」まで踏み込んだものは、ほとんど見つからなかった。
FactSort Lab. が作ったもの
混乱した状態のまま入力すると、「事実関係整理書」と「時系列一覧表」の2つのPDFが出てくる。いつ、どこで、何が起き、どんな証拠があるか——弁護士や警察の窓口で求められる形式に、自動で変換する。
すべてを正確に覚えている必要はない。走り書きでいい。順番が前後していてもいい。整理はツールがやる。人間がやるべきことは、覚えていることを入力するだけだ。
このブログの役割
ブログでは、証拠の残し方や事実の整理方法について書いている。パワハラ、ストーカー、モラハラ、学校のいじめ——それぞれのケースで「何をどう記録すれば、相談先が動くか」を具体的に解説している。
ここに書いてあることは、多くのケースを見てきた中で繰り返し現れたパターンに基づいている。どのケースでも、証拠の「量」や「派手さ」ではなく、「事実を固定できるかどうか」が結果を分けていた。その構造を、できるだけ具体的に書くようにしている。
専門家の方へ
弁護士、社労士、相談員の方で、相談者の記録整理にお困りの場面があれば、FactSort Lab. を紹介していただけます。
「次回までに時系列をまとめてきてください」——この一言の後、相談者が途方に暮れる場面を何度も聞いてきた。FactSort Lab. は、その「まとめる」作業を代わりにやるツールだ。出力されるPDFは、相談の事前準備としてそのまま使える形式になっている。