報告009 窓口の様式と記録の作法は、何を分けて書かせているか

2026年9月29日(調査の報告。測定ではない)

問い

困りごとの相談を受ける窓口・調査する側・記録する側は、経験を書かせるときに、何を別の欄に分けているか。AI に整理させるときの「足さない・揺れを残す・事実と推測を分ける」は、既存の作法とどこまで重なるか。

条件

ウェブ上で公開されている様式・指針・解説を読んだ(2026年9月27日時点)。調べたのは、公益通報、職場のハラスメント、学校のいじめ、社会福祉、心理療法、取材、会議の記録である。様式の欄の名前と指針の文言を原文のまま拾い、「何と何を分けているか」で並べた。

結果

場面様式・指針分けているもの(原文)
公益通報長岡京市「公益通報フォーマット(例)」、岡山大学の記入例「いつ」「どこで」「何を」「どのように」「なぜ生じたのか」の欄と、「通報対象事実を知った経緯」「通報対象事実に対する考え」を別の欄にする。「証拠書類等の有無 有・無」の欄がある
学校のいじめ文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(2024年8月改訂)「事実関係の把握と、それを基にした評価分析は別の事柄」。「事実関係が確認していないものについては断定的な表現を避ける」。聴き取りによって「一度話した事実と異なる内容をその後も真実として話したりするおそれ」を警戒する
職場のハラスメント調査調査報告書の解説「〜と感じた」という主観と「〜と言われた」という事実を分けて書く。確認できた事実と確認できなかった事実を区別して記録する
社会福祉・医療SOAP 記録(主観 S・客観 O・評価 A・計画 P)「どこまでが事実か」「どこからが所見か」を分けて書く
心理療法認知行動療法のコラム法出来事(感情や意見を入れない事実)の欄と、そのとき浮かんだ考え(自動思考)の欄を分ける
取材文字起こしの「素起こし」と「ケバ取り」、質的研究のフィールドノート言い淀みも含めて全部を起こすか、整えるかを使い分ける。観察した事実と自分の考察を欄で分ける
子どもの聴き取り司法面接(NICHD プロトコル)誘導質問を避け、自由報告を優先する。記憶の汚染を防ぐことを目的に掲げる

様式の側は整理を前提にしているが、整理そのものを助ける仕組みは持っていない。公益通報の様式の欄外には、「通報内容を整理するために使用して下さい」「全てを埋める必要はありません」とだけある。

所見

限界

出典