学校でのいじめの記録の残し方|日付ごとに種類を分けて残す
学校の調査結果が「確認できない」となる場合
学校に相談した後、「調査しましたが、いじめは確認できませんでした」と回答される例があります。この回答は、学校が事実として確認できなかったという意味であり、何も起きていなかったという意味とは限りません。
目撃した人がいない、相手の児童生徒が否定している、日付や場所がはっきりしない、といった場合、学校は事実を認定しにくくなります。学校の判断は個別の事情によるもので、記録があれば結論が変わるというものではありません。記録は、相談を受ける側が状況を把握する手がかりになります。
1つの出来事だけの申告
「○月○日にトイレで蹴られたと言っています」という申告は、ほかに確認できる手がかりがなければ本人の話だけが根拠になり、相手が否定すると対立したままになりやすくなります。
種類の異なる記録が同じ時期にそろっていれば、学校は個々の出来事を並べて検討できます。記録がそろうことと、いじめがあったと認められることは別の問題であり、判断するのは学校や関係機関です。
残せる記録の種類
手元に残りやすい記録は、物、デジタル、体調、学校での変化の4種類に分けられます。
| 物の記録 | 上履きがなくなる、教科書が破られる・落書きされる、持ち物が隠される、給食を捨てられる |
|---|---|
| デジタルの記録 | グループLINEから外される、既読がつかない、SNSでの無視や陰口、それらのスクリーンショット |
| 体調の記録 | 登校前の腹痛・嘔吐、食欲の低下、睡眠の乱れ、体重の変化、保健室の利用記録 |
| 学校での変化 | 保健室に行く回数の変化、欠席・遅刻が始まった時期、成績や提出物の変化、連絡帳の記載 |
1つひとつは別の理由でも説明できる記録であっても、日付をそろえて並べると、どの時期に何が重なっていたかを本人以外にも説明しやすくなります。体調の変化はいじめ以外の原因でも起こるため、原因の判断は医師などの専門家に委ね、記録には症状と日付だけを書く方法があります。
学校に相談するときの資料
集めた記録は、そのまま渡すよりも整理してから渡す方が、面談の中で参照しやすくなります。資料を要旨、時系列、添付した記録の3つに分ける方法があります。
| 要旨 | A4で1枚程度。起きたこと(事実)と推測を分けて書き、学校に確認を求める事項と希望を書きます。 |
|---|---|
| 時系列 | 日付順に並べ、記録ごとに「L01」「L02」のように番号を振ります。面談で「L07の件ですが」と示せます。 |
| 添付した記録 | スクリーンショット、欠席記録、保健室の記録、連絡帳、面談メモを番号順にまとめます。加工せず、日時が分かる状態で保管します。 |
面談で、確認を求める項目、担当者、回答の時期、確認できなかった場合にその理由をどう記録するかを尋ねておくと、後から経過をたどれます。学校の回答は事案によって異なります。
時系列一覧表の出力例
書き出したメモを整理の道具に入力し、事実関係整理書と時系列一覧表を作った場合の例です。
第1 事案の概要
申告者(保護者)の子ども(小学5年・男児)について、2025年9月頃から同じクラスの特定のグループとの間でトラブルが始まり、10月以降に物の紛失・破損が複数回確認されている。同時期に登校前の腹痛(週2〜3回)と保健室に行く回数の増加(9月:月0回、10月:月7回、11月:月12回)が記録されており、12月には3日間の欠席があった。申告者は学校に対し、事実確認、再発防止策の検討、本件の記録化を求める。
第2 分類別集計
物の記録:6件 / デジタルの記録:4件 / 体調の記録:23件(保健室の利用を含む) / 学校での変化:8件 / 本人の発言の記録:11件 / 合計:52件(2025年9月〜現在)
第3 時系列一覧(抜粋)
| 2025/09/08 | 本人発言 | 帰宅後「Bくんたちがいやだ」と発言。具体的な内容は「仲間に入れてくれない」。手帳に記録。 | [L01 手帳] |
| 2025/09/24 | 物 | 上履きが下駄箱になく、トイレの個室で見つかる。靴底に落書きあり。スマートフォンで撮影・保存。 | [L02 写真] |
| 2025/10/03 | 体調 | 登校前に腹痛を訴え、トイレにこもる。この週は月・水・金の3日間で同じ症状。 | [L03 手帳] |
| 2025/11/07 | デジタル | クラスのグループLINEで、子どものメッセージにだけ既読がつかない状態が続く。スクリーンショット保存(3日分・計9枚)。 | [L06 SS] |
| 2025/12/02〜04 | 学校 | 3日間連続で欠席。理由は「お腹が痛い」。病院では異常なし(受診記録あり)。 | [L08 受診] |
| 2026/02/03 | 学校 | 担任との面談(申告者から要請)。担任の回答は「調査しましたが、いじめという事実は確認できませんでした」。面談の内容を当日中に書き起こして記録。 | [L10 面談メモ] |
第4 記録目録(番号管理)
L01〜L11:手帳の記録(本人の発言・体調) / L12〜L17:写真(物の破損・紛失) / L18〜L23:LINEのスクリーンショット(計23枚) / L24:保健室の利用記録 / L25:健康診断の記録 / L26〜L28:病院の受診記録 / L29:担任との面談メモ(2026/02/03)
実際の出力は、入力した内容によって異なります。AIによる整理では、書いていない内容が足されたり、書いた内容が落ちたりすることがあります。
整理の道具で整理する場合
整理の道具では、次の順に入力します。
- 記憶と手元の記録を書き出す。日記、メモ、LINEの写し、連絡帳の写真などを書き出します。あいまいな記憶も書き出し、日付を確認できる記録と後で突き合わせます。感情の混じった文章も入力できます。
- 手元にある記録を一覧にする。写真、スクリーンショット、連絡帳、保健室の記録、受診記録、面談メモなどを「名称・日付・内容の要約」で一覧にします。ファイルはアップロードせず、文章で入力します。
- 時系列一覧表と事実関係整理書の案を作る。入力した内容から、整理の道具が時系列一覧表と事実関係整理書の案を作ります。出力は元の記録と照らして確認し、誤りや抜けを直します。
相談先の種類
相談先には、担任や管理職を含む学校、学校を所管する教育委員会、弁護士などがあります。どこに相談するか、どの資料を持参するかは、状況や相談先によって異なります。
この記事は一般的な情報の紹介であり、個別の事案についての法律上の助言ではありません。